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宜蘭
午前十時、捷運市政府站で会おうとジミーから連絡が入った。宜蘭にバスで行くのだ。私が住むところから景安站迄は歩いて五、六分、改札から月台(プラットホーム)まではかなり降りる。捷運で台北車站までが十三分。捷運が来るのを待つことを考えれば、家から台北車站まで三十分みていれば間に合う。
景安から市政府站までは二十三分。さほど遠くない。もっとも、日本で仕事している時は車ばかり乗っていたので、電車に毎日二十三分乗らなければいけない毎日になれば長く感じるかも。
市政府站には轉運站というバスのターミナルがある。ここから各会社が台北縣の周辺へ向けてリムジンバスを出している。今回は宜蘭まで首都客運のバスに乗る。シートは二+一列。かなりゆったりとした大きなシートだった。これなら楽である。
一時間程で宜蘭轉運站へ到着。暫くすると、ジミーの二人の阿姨が迎えに来てくれた。
まず旺山休息農場へ寄る。ここでは可愛い南瓜や哈密瓜などを見ることができる。宜蘭の高い青い空を背景に、色々な種類、形の南瓜、トマト、ネギ等をみていると心が安まる。
次に訪れたのが台灣菸酒公司宜蘭酒廠。紅露酒という紅麹で作られた酒が有名。一九〇九年に工場が開かれたとうから百年以上の歴史がある工場だ。紅露酒と高粱酒を試飲させてもらい工場をあとにする。
「何が食べたい? 」
ジミーの阿姨が私に聞く。
「麺が食べたい! 」
「よしそれなら『北門蒜味肉羹』(阿娘給的蒜味肉羹)へ行くか」
食べた物は肉羹粿仔條。美味かった。何でもニンニクの味が利いていると美味しく感じられることは事実だが、それを差し引いても美味い。流行るだけのことはある。羹(焿とも書く)とは元来あつものと言う意味。温かい汁である。今では肉羹と書いてあれば挽肉の塊が入ったとろみのつけてあるスープと考えて良さそうだ。私達は入店したのは正午前だったのだが、正午に近づくにつれ小さな店は満席に。持ち帰りの客も数多く来店していた。
「道が細いから気をつけて運転して」
助手席に座る阿姨がもう一人の阿姨に言う。
運転している阿姨は今学校の先生をやっているという。物腰も穏やかだし、説明も明瞭。幼いとき、こんな先生に教えられていたら私の人生ももう少し変わっていたのではないだろうか。
細い道の先は陳性宗祠とう場所。陳さん一族が祀ってあるところだ。古い三合院が田園の中にひっそりとあった。直ぐ近くには落羽松園がある。地面から松の根が飛び出ている。非常に珍しいといっていた。
阿姨が連れて行ってくれたのは員山林家古厝。こちらの家の周りもすべて田圃。つまり農舍。正門上部両側に木を象ったマークがある。両方併せて 林 という字になると阿姨は私に説明してくれた。
阿姨達が連れて行ってくれた場所を自分で調べてみると、個人旅行ではなかなか行けないところだったことが分かった。感謝。また事前に行く場所が分かっていれば、阿姨達とも、もう少し会話が出来たろうにと悔やんだ。
去年元旦、台湾へ行った時だと思う。台湾のウイスキーが有ると知って、中山站にある三越の酒屋で、そのお酒“KAVALAN”があるかどうか聞いたことがある。
逆に質問された。こちらはWEBで見ている。間違いなくあるはずだ。しかし、無いものは買えない。
その手に入らなかったものを、去年の暮れジミーが来日した時にプレゼントしてくれた。
「ありがとう! これが欲しかったんだ」
今日そこに行く。蒸留所に行くことが叶ったのだ。工場のある敷地はやたらと大きい。平日だというのに学生、観光客が大勢いいる。順路に従って施設を見学。終えると、試飲できる場所にたどり着く。大きなテーブルとその周りに八席の椅子、この組み合わせが十ぐらいあるだろうか。皆にグラスに注いだウイスキーを配り、正面に立つ女性解説者がグラスを振れといっている。どうやらグラス壁にできる涙を確認させたがっているようだ。
それが終わると、お決まりの“土産販売スペース”がある。買いたかったのは山々だが、これから台北から各地へ移動することを考えると、液体のような重い物を買うことは避けたい。ポストカードを買った。
阿姨は次の見学場所、金車生態蘭花園と車を走らせた。
胡蝶蘭
金車とは会社の名前。かなり大きなグループ企業。そこが運営している蓮と胡蝶蘭の直売店。大きいもの小さいもの様々な色なものが、建物奥の方までずらっと並んでいる。さほど興味がない私でも驚いたのだから、恐らく花好きの人が訪れたら驚愕するはずだ。非常に安い。
その後、惠民路にある『聯全麻糬』に寄って試食。阿姨は良く訪れるらしく売り子のお姉さんと楽しそうに話していた。麻糬とはもちのような物。様々な餡が中に入っている。ここも美味い!消費期限が近いので、買わなかったのが残念。特に芝麻(胡麻)が美味しかった。ついでに言えば花蓮にも有名な『曾記麻糬』という店がある。
私は部屋で飲むため『聯全麻糬』で『金棗密』を買った。棗の密である。湯に溶かして飲む。たいそう美味い。
「さて次は何を食べようか? 」
阿姨が楽しそうに私達に聞く。
「もう食べられないよ」
「あら小食なのね。せっかく来たのだからもう少し食べなさい」
本当に腹が一杯だ。だのにまた行くのか? なんだか香川で讃岐うどん屋巡りをやっているようだ。
次の店は國立陽明大學附設醫院の向かい新明路にある『宜蘭大麵章』。頼んだのは餛飩麵。ここはスープも良いし、ワンタンもうまい!これで三五元というのだからたまらない。客が来ないはずはなかろう。
羅東夜市
阿姨達は本当に元気だ。疲れているはずなのだが、少しもそのような表情は見せない。
羅東林業文化園區というところへ行った。資料館には昔の日本統治時代の写真があったり、敷地内には昔の日本様式の建物があったりと、日本人が行ってみるには良いところだと思う。きっと阿姨達もその辺りは解っていて連れてきたはずだ。この場所で印象深かったのは、貯木場。往事を偲ばせる景観が残っている。羅東火車站から直ぐ近くなのだが、貯木池を眺めていると折良く右側から列車が走ってきた。建物だらけの街並みと違いほっとさせる景色。何も焦って働くだけが、人生全てではないと感じさせる何かがそこにある。
最後は羅東夜市によって締めくくり。やはりここも学生、サラリーマンで大賑わい。都市部で人は活きていない、生かされているだけだと何かで読んだ。貯木池の静けさと、夜市の人間らしい活気。仕事に疲れた人たちは一度、宜蘭に来てみるといい。
台湾短期滞在55 『台湾短期滞在目次』
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